機械設計の勉強ブログ

皆さんと一緒に機械設計を学んでいくためのブログです。

体感してわかる!part1 運動の法則

機械設計について学んでいく過程で、避けて通れないのが物理です。

そして物理の中でも、構造設計などで常に必要になるのが力学の知識です。

そこで初回のブログとなる今回、力学の根幹をなす「運動の法則」について、皆さんと学んでいきたいと思います。ただし、設計は頭でっかちではいけません。数式の感覚をイメージできることが大切なんです。数式の感覚をイメージできるようになるため、身近な経験を通して、運動の法則を学んでいきましょう。

運動の法則とは何か

1.運動の第一法則(慣性の法則)

ある物体に何の力も働かない場合、その物体は静止し続けるか、等速運動を続けます。これらの性質を運動の第一法則(慣性の法則)と呼びます。

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2.身近な例(慣性の法則)

法則の説明ではピンとこない方もおられると思います。上述の通り、身近な体験からこの現象について確認してみたいと思います。

ところで皆さんはランニングの経験はおありですか?近頃は暖かい日も増えてきたので、ランニングを始めるのにはちょうど良い季節ですね。でも、いざ走り始めようと踏み出したとき、最初の一歩が重く感じたことはありませんか?一方、いざ走り出してみると、初めの一歩と比較して楽々と足が前に出てくるように感じませんでしたか?この感覚こそ、まさに「慣性の法則」なんです。よくわからないという方は、意識して軽く走ってみてください。

気持ちやホルモン分泌による影響もありますが、何事も変化するためにはエネルギーがいるものです。止まっている状態から初めの一歩を踏み出すときや、一定の速さで走っている状態から加速や減速を繰り返すときなどは、何だか疲れますよね。これは変化にエネルギーを必要としている証拠です。これらは、静止している物体は、変化したくないので静止を続け、動いているものも変化したくない(そのままでいたい)から動き続けようとする性質そのものなんです。

ランニングの例は少しわかりにくいなと感じる方、今度は自転車を想像してみてください。自転車の走り始めには、一生懸命ペダルをこがないと、前に進みませんよね。一方で、一度加速してしまえば、暫くの間はペダルをこがないでいても、自転車は惰性で前に進みますね。この経験も慣性の法則そのもので、そのままの状態を維持しようとする法則が働いていることがわかります。自転車はそのうち止まるじゃないかと思ったあなた。そうです。実際には空気抵抗や、タイヤの摩擦損失等が外から働く力(抵抗力)を発生させるために、徐々に速度が落ちていくんです。もし、それらが働かない状態になれば、自転車は一定の速さで進み続けることになります。

3.運動の第二法則(運動方程式

ある質量m[kg]の物体に一定の力F[N]がかかると、その物体には加速度a[m/s2]が発生します。その加速度の大きさは、かかった力Fに比例し、質量mに反比例します。この関係を運動の第二法則(運動方程式)と呼びます。

ma=F, a=F/m

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4.身近な例(運動方程式

先程と同様に運動方程式についても、身近に感じることができます。

さて、皆さんは何か重いものを押して移動させた経験はありますか?例えば、学校の正門に設置されている横長の移動式の門や、体育館の重たい引き戸などです。もし、このように重いものを押して移動させた経験をお持ちの方は、運動方程式を既に体感していると思います。例えば、重たい引き戸を開けるとき、引き始めor押し始めはすぐに動きませんよね。でも押し続けていると、いつの間にか戸が開く速さが加速していきませんでしたか。ここに運動方程式が隠れています。

戸を移動させる力Fは、そんなに大きく変わらないと考え一定の力がかかっているとします。一方、戸が動くスピードは押している方向と同じ方向に徐々に速くなっていくことから、加速度は力の方向と同じでかつ一定なのではないかと予想できますね。(※加速していくので、加速度は正の数。また、「徐々に」加速していくので、1次関数になるのではないかという予想です。実際にそうなのかどうかは、次の記事で実験してみましょう。)

次に、軽い扉(自宅の玄関扉など)を移動させたときを思い出してみてください。引き戸でなくても構いません。この場合、手で力を加えると簡単に加速して開いてしまいますね。これらから、動かそうとする対象が軽いほど加速しやすく、逆に重いほど加速しにくいことを体感していることがわかります。よって運動方程式の通り、確かに加速度は、重さに反比例していそうだなと予想できます。(※これについても、次の記事で実験してみたいと思います。)

5.運動の第三法則(作用反作用の法則)

 ある二つの物体間で生じる力は、互いに等しく、それぞれの方向が逆になる。

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6.身近な例(作用反作用の法則)

これが今回の最後の法則です。手押し相撲を通して作用・反作用の法則を感じてみたいと思います。ところで皆さんは手押し相撲をご存知ですか?手押し相撲とは、手のみに触れて良いというルールのある相撲のことです。ご存知ない方も大丈夫。今から、簡単に手押し相撲のルールをご説明いたします。

手押し相撲は二人で行います。まず、お互いに、相手の顔が正面に見えるように立ちましょう。そして、軽く肘を曲げた姿勢をとり、自分の右掌が相手の左掌にちょうど触れるような距離に近づくと準備完了です。後は簡単。スタートと同時に押し合いを開始し、足が先に動いてしまった人が負けとなります。さぁ論より証拠です。まずはやってみてください。なお、一緒にできる相手がいらっしゃらない場合は、壁相手で結構です。壁に届く位置に立ち、怪我しない程度に壁を押してみてください。

さて、これで皆さんも作用・反作用の法則を体感しました。もうわかりますね。手押し相撲をされた方は、相手を手で押すと、自分も反動で押されてよろけるのを感じませんでしたか?手押し相撲に夢中になって、そんな事は忘れてしまったという方は、相手を壁に変えてみてください、、。壁を押した場合、反動で自分が動きましたよね。これが作用・反作用の法則です。押した相手が動くと感じずらいですが、自分がかけた力は、そのまま自分に返ってくるものなのです。